脳内交響曲

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07 2014

美人は早死にしたほうがいい

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世の中には容姿しい(と見做されている)人が数多くいます。
私は頭蓋骨に乗っかっている肉の造形なんかに関心はさほど無いのですが、彼らは多くの場合周りに持て囃されます。

例えば採用面接なんかでは、同程度の能力を持っている両者のうち、容姿しいほうが採用されるでしょう。
また恋人を選ぶときなどには誰しも、多かれ少なかれ、容姿を判断基準としているでしょう。
それぐらいに、顔の造形は社会的に重要視されています。

そして人の中には、各種のメディアを利用して、富や名声をを得る人もいます。
女優になったりアイドルになったりすることが出来るのは、生まれつき、或いは整形によって顔立ちが整っている人間だけです。
即ち、醜い人間は生まれながらにして自らの可能性を制限されています。
(最近は整形や化粧があるので、ある程度は制限を回避できますが)



なので、容姿しい人間が、往々にして勝ち組と見做されるのも当然でしょう。
人々は人を羨み、彼らを崇め奉ります。
そして、彼らはしばしば醜い者に嫉妬され,酷い目に合わされることがありますが、それも仕方のないことかもしれません。

しかし、私は人に対して、ある特殊な一点で同情の念を抱いています。
それは、美しい人間は若くして死ぬべきである、という(努力)義務を負っているということです。

人の若さが保たれるのはせいぜい40年ほどの期間に過ぎません。
大体人に用意されている時間の内、美しくあるのは半分だけです。
美しさが過ぎ去ったあとは、元美人は「嘗て美人だった人」として醜い容姿で生きていかなければなりません。

嘗て美しかった人が醜くなるというのは実に虚しいことです。
40を超えても暫くは美しさを保ち続ける人も中にはいます。
しかし、それも長くは続きませんし、次から次へと湧いてくる若い美人に、美しさのレベルでどんどん抜かれていきます。
最終的に人は必ず醜くなるという宿命にあるのです。



初めから醜かった人が老化してより醜くなっても、そこまで喪失感はありません。
なぜなら、容姿が醜い人は、容姿以外の面で自分に価値を持たせようと努めるので、年をとって容姿がより醜くなったところで、精神的ダメージは少ないからです。
少なくとも、美しさが失われる悲しみを容姿が醜い人が感じることはないでしょう。

一方、容姿が美しい人間が長く生きることによって失われるものは、より大きいです。
かつて美人だった自分が醜くなっていくことに伴う恐怖は、計り知れないものが(恐らく)あります。
そして、醜く老いることによって精神的ダメージを負うのは、かつて美人だった人だけではなく、その人を讃えていた人々もまた同様です。
彼らもまた(いささか勝手ではありますが)、美人が醜くなると、幻滅して精神的ダメージを負うことにことになります。

そして不細工化による精神的ダメージに拍車をかけるのが、「辛い時間が幸福な時間よりも遥かに長く感じられる」という人間の認識の作用です。
この作用が存在することは、誰しも経験的に感じ取っているでしょう。
つまり一見人生の半分くらい美しい状態でいられるように見えて、実際は醜い状態で生きながらえる時間の方が遥かに長く感じられるのです。
長生きすれば美人は、体感的に長い時間を醜い容姿で生きなければなりません。



だから、容姿しか美点がない人間は、若いうちに死ぬべきではないでしょうか。
40ぐらいで病気ないし自殺によって死ぬことが、美人には一番理想的な運命なのではないでしょうか。
そうすれば、自分が最も価値があると思っている物(容姿)を失っていくという事態は回避可能ですし、また老いの苦しみを背負う必要は無いというメリットもあります。

それに、若いうちに死んでおけば、永遠に美人として皆の記憶に刻まれることもできます。
自分が客観的に美しいという自負があればこそ、その人物は自分の美に普遍性を持たせるために、ある程度の年齢で人生に見切りをつけることが一番得なのです。
もし一瞬でも醜く老いた容姿を晒してしまえば、その人の記憶には永遠に醜の側面が付きまとうことになってしまいます。

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容姿

2 Comments

blackout  

no title

悲哀,悲痛,悲嘆を連想させる絵ですね

はじめまして、blackoutと申します

自分は小説を書いていますが、この絵は今後のインスピレーションのきっかけになりそうです

自分の小説は暗いものが多いですが、お気に召すようでしたら、またお越しください

2014/12/09 (Tue) 00:02 | EDIT | REPLY |   

ぶち丸  

はじめまして、blackoutさん。コメントありがとうございます。

悲哀,悲痛,悲嘆をこの絵から感じる人は多いと思います。自分も描き終わってそんな感じがしました。
あくまで何となくですが・・・。

blackoutさんの小説はいくつか読ませていただきましたが荒涼とした世界の克明な描写が非常に印象的でした。
今後時間をかけてじっくり読ませていただきます。個人的に私の作品と通じるものもあると思いました。

2014/12/09 (Tue) 21:09 | EDIT | REPLY |   

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